「シン・ゴジラ」を観に行かぬ間に、「君の名は。」がとっても人気ですね。
観てみたいなー!みにいくぞー!・・・って気持ちとは裏腹に、
話題の映画を話題の時期に観に行くのがおっくうな気持ちがあって、
なかなか、オンタイムで話題の映画を観に行けない、そんな密やかな悩みを抱えているナムフォトの楢であります。
(そして、悩んでいる風で、実は悩んでいない、ナムフォトの楢であります。)
ところが、たまに、観に行く映画もあって。
「プラダを着た悪魔」、観に行きました!
2006年に公開された、有名なアメリカ映画。
転職活動か、仕事か何かで、悩んでいたんですよね、ちょうど。
そしたら、知人のおじさんが
「『プラダを着た悪魔』みた?よかったよ。観るといいかも。」
って、おすすめしてくれたんです◎
いろいろと見どころはあるけど、強烈な印象で残っているシーンが二つあって。
青のセーターと、ラストの恋人との和解・なのに遠距離のシーン。
青のセーターのくだりは、こんなかんじ。
モード界や、ファッション業界がどうしても肌に合わず、というより、「なんで、着るものにこんなに振り回されているの?」と小馬鹿にしている感もある、モードファッション誌アシスタントのアンドレア。
編集長ミランダと、スタイリストが、どっちのベルトがいいかを真剣に検討している姿をみて、ついに「プッ」と笑ってしまうのですよね。
鬼の編集長が「何が、おかしいの?」と。
アンドレは、「そのベルト。どちらも、同じに見えますよ。」と。
そしたら、鬼の編集長ミランダに、撃ち抜かれるように、言われるのです。
「あなたはが着ている、その青いセーター。その色は、正確にはセルリアンよ。
その色は、デザイナーのオスカー・デ・ラ・レンタがガウンのコレクションで発表して、そのすぐ後にイヴ・サン・ローランがミリタリージャケットで起用した。たちまち8人の別のデザイナーのコレクションにも登場して、あっという間にデパートへ、そしてカジュアル服コーナーにまで浸透していったのよ。
あなたは、『自分は、着るものなんかにこだわりを持ちません』ということを証明するために、その青いセーターを着ているけど、皮肉なことに、その「青」は、巨大市場と、無数の労働という社会の象徴なのよ。」
(正しい台詞・翻訳ではありません。意味が違わない範囲で意訳しております。)
と。
「どんな職業にでも、たとえ、自分には社会的意義がないように感じるファッションにだって、誇りを持って取り組んでいる人々がいて、誇りがない仕事なんてないのよ。」
多分、こういうことです。
もう一つ、大好きな物語「ファンタスティックス」というミュージカルでは、老いぼれ役者のヘンリーが、弟子役者のモーティマーに言う台詞。(大体こんな感じ)
「覚えておけよ、モーティマー。世の中に“小さな役”というのはあるが、“小さな役者”というのはいない。どんな役も立派にやり遂げるんじゃ。」
役者だと名乗るのなら、理由がどうであれ、その役を引き受ける以上、100%自分の命を注ぎましょう。そうじゃないと、観ているお客さんに対してはもちろん、役者である自分に対しても、失礼で、自分を辱める行為なんですよね。
・・・アンドレアは、一流ファッション雑誌の、編集長のアシスタントという役を、立派にやり遂げるために、それから、意識を丸ごと変えて仕事へ邁進します。
でも。最終的に。
鬼の編集長に、ついに働きと存在を認められた、その後に。
「仕事を辞めて、本当にしたい仕事へ真っ直ぐに向かう」という選択と、
「愛する人との関係を、人生のプライオリティの一番にする」という選択をするんですよね。
「みんなが憧れる、”勝ち”への階段を上りつめる、サクセスストーリー」ではなくて、
「自分の本当の幸せ、生き方を見つけたサクセスストーリー」ってところが、
そのファンが多い所以かなぁと思います。
・・・そうそう。
別れを切り出された見習いコックの恋人は、スーシェフへと抜擢されて、よその町へ。
アンドレアは、憧れだった記者の仕事へ。
ふたりは遠距離恋愛になってしまうんですが、(えーーー!めっちゃ寂しい!って、思っちゃうのですが)お互いが、お互いの人生を支え合うパートナーとして。共に人生のステージを進めて、どちらが依存するでもなく愛を育んでいくところが、また、なんていうか、感動的なのです。
映画のストーリーやラストシーン。だいたい忘れちゃうんですが、この映画は本当によく覚えています。
アンドレアは、元のダサい服装に戻って、イキイキとしています。
ファッションって、本当に生き方と呼応しているんですね。あぁ素敵だなぁ。
・・・ということで、久しぶりに、見返してみようと思います!
あれから、10年。また違った見方ができそうで、楽しみです◎