あなたは、仕事の仲間や、友達たちとワイワイ話しているとき、どんな役回りをしていますか?
いつでも、新しい情報や話題を提供して会話をリードしたり、自分の体験をおもしろおかしく話したり。そうかと思えば「聞くのが得意」な人がいたり。
集まるメンバーによって、役割を変えている、という人もいるかもしれません。
さて、大阪をはじめとする関西圏では、日常の会話の中にも「笑い」の要素が欠かせません。
多少誇張されてはいるかもしれませんが、
「大阪人は、相手の言っていることを聞かずに、自分がどこで発言すれば笑いをとれるか、そのタイミングだけを見計らっているのが一般的だ」なんていう人もいます。
確かに周りをよく観察していると、
「全然、人の話を聞いてないけど、天才的にその場の笑いを持っていくな〜」という人がいないでもありません 笑。
ただし、この「笑いをとる」という一見「勝ち」とも思えるパターンは、「自分の発言だけ」を注視していたら絶対に起こりません。
会話は、言葉のキャッチボールで進んでいくので、
相手の言ってることをよく聞いているからこそ、「おもしろい発言」が生まれてくるんですよね。
「その場を支配したい」「勝ちたい」「目立ちたい」という意識での発言は、
心理学でいうところの「承認欲求」がとても大きくなっている状態です。
つまり、子どもが、お菓子を買ってもらいたくてスーパーで泣きわめいているのと全く同じこと。
大人同士の集まりでは、相手のその「承認欲求」を感じて注視することはあっても、本心から「おもしろい!」と感じたり、愉快で楽しい気持ちになったりすることは、ありません。
本来の「笑い」には、ノリや声の大きさだけではなく、必ず「相手の存在」が含まれています。
「なんで、相手はこういう発言をしているのかな?」
「相手の言葉には、どんな心理が働いているのかな?」
「本当は、どう思っているのかな?」
こういったことを汲み取り、言葉になっていない「真理」をつけることで、「笑い」の要素が生きてくるのだと思います。
「なんだか会話がかみ合わない。」
「相手が楽しそうではない。」
「自分の意見を通したい。」
「自分の意見が、賞賛されたい。」
こういったことを感じている人は、まずはゆっくりと相手の話を聞くこと。そして、自分とは違う相手の存在や、考え方を受け入れること(他者尊重)からはじめてみましょう。
笑いは「相手に勝つ」ことで起こるのではなく、その場にいる人全員で生み出すクリエイティブな作業だと認識すると、きっと、風向きが変わるでしょう。
ちなみに、
大阪生まれの友人に
「おもしろいことが言えないから、京都に引っ越した。」(←すでにちょっとおもしろい)などという人がいます。
彼女は、普段からとてもおもしろい人です。
ひょっとすると「声が大きい人が勝つ」「相手を圧倒して笑いをとる」・・・こういったパワーストラグル (闘争のパワーが絡み合っている状態)に巻き込まれるのが苦手で、京都へ引っ越したのかもしれないなぁ、なんてことを思いました。